ボタン。
3月と言えば、別れの季節。
どうです?あります?別れにまつわる甘酸っぱい思い出話。
私は、無いです。
卒業式で抱き合いながら泣いてる女子を尻目に、
「んー!やっと終わったよぉぉ~!」って背伸びしてましたから。
そんな冷めた女ではありますが、高校生の時、
先輩の第2ボタンを貰った事があります。
青春時代の恋の思い出を聞かれた時は、常に上記の台詞を口にして乗り切っています。
だって、これしかないんだもーん。
この台詞だけ聞くとさ、めっちゃ甘酸っぱいでしょ?
淡く切ない恋物語って感じするっしょ?
実は全然違うんです。単なるもらい事故による、もらいボタンです。
友人が密かに恋い焦がれていた先輩がおり、
卒業式の日に勇気を出して名札(第2ボタンより貴重なアイテム)を
貰いに行くと言い出しました。
一緒に来て欲しいと頼まれたのですが、
そんな野暮な真似はしたくない、近くで待ってるからと断りました。
しかし、友人はとんでもない握力で私の腕を掴んだまま、
先輩の前まで行ってしまいました。
友人「先輩!あの・・・良かったら、名札下さい!!」
先輩「え?名札?ああ、はい。」
友人「ありがとうございます!卒業しても、遊びに来て下さいね!」
先輩「うん、ありがとう。・・・・(で、隣の君は?みたいな目で私を見る)」
3人「・・・・・・・・・・(処理しきれない沈黙)」
友人「ほっ、ホラ!次はそめちゃんだよ!はいどうぞ!!(先輩の前へ押しやられる)」
私 「はっっ?私!? えーっと・・・じゃあ、第2ボタン??良いですか?」
先輩「あ、はい。どうぞ・・・」
かくして私は、全く面識のない先輩の第2ボタンを手に入れたのでした。
思い出を共有したいという友人の希望により、第2ボタンは私が持つ事になりました。
あれから数十年。あの名札、友人はまだ持っているのだろうか・・・。
私はですね、小物入れに入れ、その小物入れの存在も忘れたまま、
実家を出てしまいました。
なので、多分実家にある。
いきさつはどうであれ、「先輩の第2ボタンを貰った」という事実は、
今や私の唯一の青春リア充ワードとなりました。
先輩、友人、本当にありがとう。
高校生の私よ、今は微妙な気持ちだろうけど、後になったら分かるから。
とにかく大事に取っとけ。